まっぷたつに折れてしまったブロさん。
気絶しているブロさん。
いつもお世話になっている、必ず直してくれる、あの神さまみたいなお医者さまに診て貰えば大丈夫だからね。と話しかけながらも
お医者さまに持って行ける日までの数日間は、地獄のようでした。
お布団のなかでしくしくしくしく、めそめそめそめそして、朝になってもまったく起きたくありません。
誰とも絶対に会いたくない!着替えたくない!お外に出たくない!ごはん食べたくない!歯も磨きたくない!お風呂も入りたくない!
私の元に来てから怪我してばっかりで、こんな持ち主のところに来てしまってごめんなさい、ごめんなさい、と何回も思っていました。
それはもう 生きる希望を失くしている、頭の中真っ暗闇の、どこからどう見ても廃人でした!
そんな感じで数日経ち、やっとお医者さまに診てもらえる日が来ました。
そして診てもらってハッとしたのが、
今回折れてしまったところは、前の持ち主さんが一度折ってしまって、リペアした後だったということ。
そういえば、ネック折れリペア有りで買ったわな…
と思い出すわたし。
もしかしたら、前のリペアがちょっと甘くてちゃんとくっついていなかったのかも知れない、との予想も。
マイクスタンドに当たっただけで真っ二つに折れてしまったのは、そういう事だったのか、とだんだん納得してくる。
そのほかにも治療法について、お医者さまと相談したことで一番覚えているのが
このままくっつけるだけだと接着面が少なすぎるので、ヒール?と呼ばれるのかな?ネックの終わりのところとボディの間にメイプルの板を入れましょうという事でした。
ビンテージグレッチの愛すべきところは、なんと言ってもUSAならではのテキトーな作りのゆるさがあるところ。キッチリカッチリしてないところが愛くるしい上に、サウンドの特徴だと思っていたのです。ネック終わりとボディの間には少し隙間があるのがビンテージの良さだと思っていた私は、その隙間に板を入れるのかあ〜…と、一瞬、悩みました。
けれども、ビンテージのものを扱うときには、今の時代をいっしょに生きていく為に、新しい考えを持って決断する勇気、覚悟が必要です。
捨てなければならないこだわりだって、たくさん出てきますよね。
ちょっと考えて私は、へんなこだわりは捨てて、少しでも接着面が増やせるように、ネック終わりとボディの間に板を入れてもらうことを決意しました。
それによって音がもし変わってしまったとしても、ちゃんと治ったらまたよく鳴るように弾いてあげればよいんだと、その板に賭けました。いちばん大事なのは、ブロさんが元気に治ってくれること。
ワンマンライブまであと1ヶ月という時期だったので、それまでに治してもらえたら大変嬉しいですと頼み込み、ブロさんまたしても入院の巻。
こうなったら、どんなにお金がかかってもどんなに時間がかかっても、なにがなんでもくっつける!という気持ちでした。
ブロさん日記㉚へつづく
時代を乗り越えて行く度に進化して行くのですね。
歴史的建造物もその姿を後世に残し、
少しでも人々の目に触れ長い時間を過ごすため、手を入れて行きますものね。
カタチあるもの、いつかは壊れる。
それがCHIEさんの元にある時でよかったのではないでしょうか。
ブロさんを愛していること、この日記からもの凄く感じます。
進化したブロさんと共にまた素晴らしい演奏を聴かせてください。