きのう、YouTubeのコメントでびっくりしたことがあったと書きましたが
びっくりしたこととは、トムペティのカバー「I won’t back down」をショート動画でアップしたら、英語でたくさんアンチコメントがきてしまったことです。
最初は、私の演奏や英語がダメだったのかなぁと思っていたんだけど、ふたつめのコメントから「む?これはなんだかいつもと違う、やばいにおいがするぞ…」となって、わたしはI won’t back downの曲についてもう一度調べたり、いろんな人に聞いたりしました。
そしたらレーベルの方がアメリカ人のお友達さんに聞いてくれて、ようやくはっきりと判明しました。
I won’t back downは、普遍的かつ強い決意表明的なメッセージが歌われているので。どうやらいろんなひとがいろんな状況で自分の気持ちを重ねてしまうアンセム…かつ、トランプ氏が政治活動にも無断で使用してしまった事があったことから(ペティ側は拒否していたけれども)アメリカではどちらかというと保守層からトランプ支持者のイメージが強いそうなのです。
非難する人は2タイプあるそうで、リベラル寄りの人が歌い手をトランプ的に捉える方向、保守派の人が外国人に何がわかる、という方向。アジア人差別もきっと入っていたであろう。
八方塞がりになりあらゆる誤解を招きまくってしまうと思ったので、その動画は公開中止にしたのでした。
それから、公開予定だったポカホンタスと、以前投稿したJerusalemもいったん公開中止にしました。
I won’t back downは昔からとても好きな曲で、ジョニーキャッシュやルシンダ姐さんもカバーしている。私はこの曲を、個人的にとってもつらい時、乗り越えなきゃいけないとき、ふんばるのだ、というときに歌いたくなり歌っていたのですがそんなに複雑な背景を持っているとは、気付けなかった…とものすごく反省しました。そして、いま移民についてのデモや暴動が起こっているこのタイミングだったから余計に。
作者が意図していないのに音楽がひとり歩きをしてこんなことになってしまうことがあるのだ、と世界の現実を目の当たりにしました。
音楽の持つすさまじい、はかり知れない力がまたひとつわたしの前にあらわれた。
コロナ禍のときには不要不急とまで言われていた音楽は、じつは本当は真逆の力を持っていたことにわたしたちは気づいていなかったのではないか。
1日ただ過ごしているだけでも、音楽を耳にしない日はほとんどない。人が気づいていてもいなくても、なにかしらで音楽は鳴っている。そしてそのとあるひとつの音楽が種となって、ひとりの人のこころのずうっと奥深いところに根付いていくおそろしさ(もちろんそれが1番美しいことでもある)というものを、わたしは見ました。
だからこれからもいのちを扱うように、たいせつに音楽を取り扱いたいなと思ったのでした。