Blog

ブロさん日記㉖

2017年8月2日更新

前回のつづきです。

ブロさん、3回目の診察…

(ヘッドをぐいぐい押していない…! 傷口もあまり指で触れないようにしてくれている…! )

お医者さん❸「うん、これは、傷口を開いて接着剤だけでは私からはそれで完全に直りましたよとお渡しする事はできません。」

と、即答で話しはじめるお医者さま。

段差があるヒビである事、接着してもまた患部が変化して汚れが入ってしまう可能性もあるかもしれない事、どうやら、様々な要因から、接着剤でくっつけるのは100%直ったとは言えないとのこと。では、どうするのか…?

お医者さん❸「傷口のところの木をえぐって、補強材を入れて直すのが一番確実な方法です。」

わたし「えぐ…!えぐるんですか…!?」

その光景はまさに、自分の相棒の病気を治す為には、相棒のお腹を切らなければいけない、と診察室でお医者さんに告げられたシーンのよう。

まさかの展開にショックを隠しきれないわたし…。

ブロさんが生まれてから57年間生きてきた歴史的木材を、私の代でえぐってしまうという衝撃的ストーリー…頭が一瞬でパニックです。

あまりのショックに、またしても涙がほろほろと…。

なんだこのドラマみたいなシーンは…ブロさんが本当に重症患者の旦那さんみたいに見えてきた。

わたし「ち、ちなみにどのようにやるのでしょうか…?」

参考資料を丁寧に見せてくださるお医者さま。

ふむふむ…。

予想外の展開だっただけにさすがに判断に躊躇してしまっている私に、先生は

お医者さん❸「選択肢は、放置か、大掛かりな手術をして治すか、このどちらかだと思います。そして、もしやるなら出来るだけ早い方が良いです。迷っている時間があるのかどうか、よく考えてみてください。」

この言葉を聞いたときに、この先生は本当に目の前のギターに対して、本気なんだなと感じてしまった。

僅かな診察時間を思い返せば、この先生は最初から、一瞬の迷いもなく即答で治療法を提案してくださった。即答できる、という事は自分の場合に置き換えると、ギャロッピングのノリを出すにはどうしたらいいですか?の問いに、右手の小指側の側面でベース音6,5,4弦までをミュートする事です。と答えるようなもので、(ちょっと違うか?笑)一瞬の迷いもなく即答できる事は、その答えに確信があるから、という事になります。

私のブロさんは、いのちと同じくらい大事なギターであって、そのいのちと同じくらい大事なギターを この程度やっておけばとりあえずあと何年かは大丈夫でしょう みたいな事は絶対にしませんという、職人さんとしての一流のプライド、本気と本気のぶつかり合いがこの先生とは出来そうだと話していくうちに感じれたので

私は予定していた予算も修理期間もぜんぶ丸ごと無視して、何がいくらかかってもいいから、この先生にやってもらおうとその場ですぐ決めたのでした。たぶん、心配性な私の性格とも合ってるんだろうなとも思った。

そうしてギターを診てもらっているうちに、ヒビの部分以外にも全部この先生にやってもらいたい、と思いはじめ

指板をまっすぐにしてフレット交換もしてもらう事になりました。

 

こうしてやっとの思いでたどり着いたブロさんを直してくれるお医者さん。諦めなかったらとっても良いお医者さんに出逢う事ができて、周りの協力してくれたみなさまにも本当に感謝しています。そして塚本さんの言葉がなかったら私は諦めモードのままでした。

そして何より勉強になったのは、職人さんによって意見ややり方は違うという事。何が正しいかの判断は結局は自分で決めること。自分の職業に対してプロフェッショナルであれということ!

お別れの写真を撮ったあと、喫煙所でお医者さまと煙草をぷかぷかさせながらギターの話やいろんな話をした時間が、私にとってとっても素敵な時間でした。泣いたあとの煙草はおいしい。

ブロさん、いってらっしゃい。元気になって戻ってきてね。

ブロさん日記㉖」のコメント

  1. 餅男という名の紳士 より:

    「泣いたあとの煙草はおいしい。」ですね!勇気貰いました!

コメントをどうぞ(※コメントは管理者の承認後に反映されます)

内容に問題がなければ「コメントを送信」ボタンを押してください☆